山域:屋久島
2004年8月21日~23日
メンバー:犬塚
8/21 曇りのち雨のち晴れ
前日に鹿児島入りし、フェリー乗り場の傍で野宿し、5時起床。昨夜は蚊は寄ってくるはナメクジは触るはで散々だった。
気を取り直しフェリー乗り場が開くのを待つ。おじさんが近づいてくる。話をしたところここから屋久島は行かないらしい。そのおじさんは親切に屋久島行きのフェリー乗り場に連れて行ってくれた。ありがとうございます。
屋久島までフェリーで4時間。昨夜の寝不足もあり船内ではずっと寝ていて、あっという間に屋久島は宮之浦港到着。
観光案内所に登山届を提出する。最終日のルートは雨天の場合は渡渉できないらしいのでエスケープルートも考えつつ行動することにする。
あいにくの雨。それも結構な大粒の雨。この先の行程を憂う。
バスで白谷雲水峡へ。着いたときには雨もあがり、さあ出発というときに靴ひもが切れる。予備があってよかったと思いつつ靴ひもを通し直し今度こそ出発。
川岸を歩くのだがさっきまでの大雨で川は茶色に濁っている。やはりここは南国。とっても蒸し蒸しする。しかし周りに目をやるとコケに覆われた幽玄な風景が広がっている。所々名物の杉が堂々と聳え立っている。その生命力に圧倒される。
そんな景色に見とれている間に今晩の宿泊地、白谷山荘到着。早々と夕飯を食う。のんびりしていると何か獣が…。おお、ヤクシカではありませんか!こっちに驚くことなくどんどん近づいてくる。おもわずシャッターを切る。50cmの近さにまで迫ってきた。立派な角をたたえている。この辺の主っぽい、それ程風格があった。
屋久島の山小屋はすべて無人小屋で原則的にテントを張ってはならない。念のためテントを持って行ったが、今日小屋に泊まる人は4人だったので小屋に泊まることにした。悠々使うことができたが、床がほこりっぽく、トイレ臭かったのがたまに傷だった。
8/22 曇りのち雨
目が覚めると6:30だった。急いで準備をして出発する。映画「もののけ姫」のモデルとなった照葉樹林の中を進んでいく。こだまが本当に出てきそうな雰囲気だった。枯れた杉から杉が生えていた。杉が杉を食っている。自然を感じる。
楠川分れからはかつて杉を搬出するのに使われたトロッコ道に沿って進んでいく。映画「スタンドバイミー」のあの感じです。楠川分れは他の道との合流点で、縄文杉が目的の人はその道から来るのが普通らしく下界の格好をした人がうようよいた。そんな人たちには目もくれずさっさと進んでいく。
いろんな杉があったがやはり縄文杉には目を奪われた。この大地に力強く根を張り、長い時間をかけて少しずつ少しずつ大きくなった縄文杉。縄文杉を前に自分のちっぽけさを感じる。縄文杉周辺は木の歩道が整備されており、縄文杉はデッキから眺めなければならない。5~6mは離れているだろうか。そのようになったのは根元を踏まれ痛めつけられたためだ。人の手が加わっているのは残念だが、人と共生していく上では仕方がないのだなと感じた。ちなみに縄文杉は縄文時代にこの世に命を受けたのではなく、実はもっと後だというのが現代の主流の考えらしい。
縄文杉を過ぎると人はいなくなりひっそりとした本来の山の姿に戻った。山の声に浸りながら歩き、新高塚小屋到着。しばらくすると雨が降ってきた。早く着いていて良かったと思う。
今晩も宿泊者は一桁だ。きれいだし、白谷山荘よりもいい感じの小屋だ、そう思いながら寝たのが間違いだった。
ビニールがガサガサいっている。そう思った次の瞬間、おいの体を重量感のあるものが横切った。ネズミだね。う~ん、自然だね~!もう来ませんようにと思いつつ寝る。
8/23 雨のち晴れ
明日も天気は思わしくないらしい。エスケープして、今日下山することにする。
今日の行程はコースタイムで11時間。雨も降っていたが、バスの時間もあるので4:45にヘッドラの光を頼りに暗闇の中へと歩を進める。暗かったが目印がたくさんあったので迷うことはなかった。
5:30、ヘッドラの光を消す。空を見上げるとどんより曇っており、雨が顔をたたいた。行く先を眺めるとガスの中へと道が続いている。晴れていれば九州最高峰の宮之浦岳が大きくそびえていただろうにと思うと残念だった。
間もなく永田岳との分岐に差し掛かる。荷物を置きピストンで永田岳を目指す。ここ屋久島も1600mを越えると森林限界となりヤクザサが生い茂って、展望がよくなった。「森林限界=ハイマツ」だと思っていたのでちょっと驚いた。世界は広いと思った。そう、分岐から永田岳の道のりはササがボウボウ生えていて背丈をも越すところもあった。しかし足元には道がどうにか見えたのでかき分けて先を急いだ。
岩を登って行くと永田岳と書かれた棒が立っていた。…何も見えない。昨日会った人がここからの眺めは最高だと言っていたのに…。しょんぼりして来た道を引き返す。
分岐から宮之浦岳の道は木で道がほとんど作られており、階段といった感じだった。頂上には先客がいた。この人は初日からずっと同じルートだ。軽く言葉を交わし、九州最高峰を後にした。やはりガスっていてね。海見たかったのに…。残念。せっせと下る。
途中川のようにチャプチャプの道を進む。このころには靴の中からクチョンクチョンという音が…。そう、靴中浸水です。ズボンはズボンで汗でウェッティーな感じです。こうなりゃ怖いものはありません。開き直ったのでした。
黒味岳の頂上は岩の上でした。ふと辺りを見回すと一瞬ガスが風に流され、青空と海と船が見えました。しかしそれも束の間の夢。ほんの一瞬で姿を消しました。花之江河(はなのえごう)は日本最南端の高層湿原(?)らしい。ガスとあいまって神秘的な雰囲気を醸しだしていた。
本来の予定ではここから5時間かけて下界へ下りるつもりだったが、渡渉の関係で2時間で下界へ着くコースをとる。えっさか歩いて下界へ。さらに歩いてバス停へ。そんなこんなで無事下山したのでした。
今回の一人旅でいろいろと得ることができた。それはまだまだ自分には精神的に弱い部分があることを自覚したことであり、そして仲間の大切さを改めて実感したことであった。しかし逆に自分一人でもやればできることも同時に分かった。この経験をこれからに活かしていきたいと思った。
【犬塚】