
山域:北アルプス
2005年9月19日(月)~23日(金)
メンバー:関 秀倫
ルート:19(月) 甲府=松本=信濃大町=扇沢~大沢小屋~針ノ木小屋
20(火) 針ノ木小屋~針ノ木岳~針ノ木小屋~蓮華岳~北葛岳~七倉岳~船窪小屋
21(水) 船窪小屋~船窪岳~不動岳~南沢岳~烏帽子岳~前烏帽子~烏帽子小屋
~三ツ岳~野口五郎小屋(~野口五郎岳~野口五郎小屋)
22(木) 野口五郎小屋~野口五郎岳~水晶小屋~水晶岳~水晶小屋~ワリモ岳
~鷲羽岳~三俣蓮華岳~双六岳~双六小屋
23(金) (双六小屋~双六岳~)双六小屋~弓折分岐~鏡平小屋~ワサビ平小屋
~新穂高温泉=松本=甲府
去年から行きたかった針ノ木。そして、針ノ木から海を目指したかったが、時間的余裕が無いのと一応後立山を縦走していることもあり、今回は南下することに。
9/19 晴れ
甲府より各駅停車を乗り継いで扇沢に着いたのは昼前。針ノ木方面に上がりそうな登山者は自分だけ、あとは立山方面。思えば、去年の今頃はココを通って剱・黒部にいったなぁ。
一人、暑い樹林帯の中を大汗かきながら行く。この時間帯に上がる人は居なく下山者が多い。時折、木々の間から見える稜線はまだ雲の中である。一人で縦走と言うこともあり荷物が重いのでゆっくりペースで行くが大沢小屋には山行タイムより早く着いた。大沢小屋を過ぎ数十分歩くと北アルプス三大雪渓の一つ、針ノ木雪渓に出るが、沢に雪は殆んど残って無く沢横のガレの夏道を行く。これで三大雪渓制覇だが、どこも雪少なくで、大雪渓って感じでない…。雪渓中間部の鎖場を越えれば稜線も見えてきて、あと少しで峠って感じになるが…、なかなか、ここからが長く、結構急登。

▲高度を感じられるところまで上がってきた。
”佐々成正”の針ノ木越え、冬にココを超えたんだから凄いなぁ~と感心しつつ峠までの残りの急坂を行く。
小屋は針ノ木峠に立っていてココから槍まで見え、振り返れば爺ヶ岳もすばらしい。これから歩く裏銀座ルートがよく見える。それにしても結構アップダウンが激しいのが判る。

▲テン場より七倉、船窪岳
明日からの激戦に備え夕飯早々に就寝も早く。
9/20 曇り時々雨、後晴れ
日の出前に起床、目の前に広がる険しい山々の奥に槍ヶ岳。その槍に夜の陰と明けの陽が混ざり合う。日の出自体は蓮華岳に隠れていて見えなかった。

▲槍まで
朝食後、軽身で針ノ木岳へピストン。針ノ木岳の眺望は最高!北アルプスの中心と言った感じで後立山連峰や剱から薬師、蓮華から槍まで見え、今まで縦走したコースが見えたりと、とにかく最高の眺望。最高の景色をいつまでも味わっていたいが西より怪しい雲が…、天気が崩れる前にテン場に戻って縦走開始。

▲立山と剱

▲爺~白馬まで
蓮華への登り、後ろを振り返れば針ノ木が。登っていくごとに後方の針ノ木の全貌が見えて来、物凄い迫力。一見、地味なイメージがあるが、雄大さの中にも険しさの有る良い山で、その辺が物凄く好きであり、今回の山行も針ノ木を中心にプランニングしたのはその為だ。
針ノ木を後方に見ながら坂を登りきると蓮華岳頂上手前の台地に出、十数分ばかし歩けば頂上に着く

▲針ノ木、ズバリ岳
頂上手前で降り出した雨が頂上を過ぎ雨脚が強くなる。
頂上から目に飛び込んでくるものは、これから始まるUpDown連続の登山道だ。今日の目的地の船窪までは水平距離では遠さを感じないが…。まず、蓮華岳頂上を過ぎると”蓮華ノ大下り”を500m程下る。鞍部の北葛乗越手前は急な岩場でハシゴと鎖場。この時、雨が弱まっていたので岩場も滑らずに無事に通過。鞍部から蓮華岳を見返すと、険しい山様で、針ノ木から見た蓮華とは印象が大きく異なる。
北葛乗越からは勿論登り。約250m程登る、上部はハイマツ帯で風も抜け気持ちがよい。ちょうど雨もやみ陽が差してきたところで、北葛岳に到着。
北葛岳から350m程下ると七倉乗越。これより今日最後の登り、七倉乗越からは痩せ尾根(片側が著しく崩壊)の急坂で約320m程登る。
七倉岳頂上からなだらかな下りを行くとハイマツの生えている台地状の尾根上に雰囲気の良い小屋が立っている。
ちょうど小屋から人が出てきて、小屋近くの鐘を鳴らして歓迎してくれた。歓迎してくれた人は小屋の人ではなく、小屋の常連さんで、とてもこの小屋が気に入ってる様子で、このオッちゃん面白いので、小屋前にあるベンチで小一時間ばかり山の話や小屋の話などをした。

▲船窪小屋
小屋の中には囲炉裏があり、物凄く雰囲気が良く、お金に余裕があれば小屋泊まりしたくなるような所で、外には五色のタルチョが掛かっていたり鐘もついている。鐘は出発のときに旅の安全を願って鳴らしてくれるとの事。外ベンチからは烏帽子も見え景色も最高。ちなみに七倉・船窪周辺の登山道は崩壊や急坂の登山道なので中高年の登山ブームとは無縁の場所なのだ。よって北ア最後の楽園。テン場は小屋より10~15分歩いたところにあり、小屋とはうって変わって景色は良くなく、裏のガレた斜面からは時折、石が落ちてくる音が聞こえる。
テント設営後、水を取りに行くことにする。小屋の女将さんが水は明るいうちに採りに良いってくださいとの事だったので?な気持ちであったが、テン場よりさらに下ること数分、道は崩壊斜面に向かってハシゴが掛かっている処に続く。何となく女将さんの発言の意図が解った気がした。水は崩壊斜面の真ん中から沸いており、崩壊斜面は谷底深くまで続いているようだ。水を入れている最中も斜面の崩れる音が微かに聞こえており命がけの水汲みである。水自体は冷たく綺麗で美味しい。
9/21 晴れ、後ガスの中
今日は山行タイム10時間越えの長丁場、夜明け前、テン場を出発。七倉乗越~南沢岳の間はアップダウンと横が崩れかかっている痩せ尾根であり、かすかな月明かりとヘッドランプの光を頼りに慎重に歩行。船窪乗越まで下りきり、ココからが小ピークのUpDown、鎖場、ハシゴ、痩せ尾根の連続。船窪岳第一ピークを越えた辺りからやっと薄っすらと明るくなってくる。と、同時に登山道の横(長野側)の凄まじいほどの崩壊が確認できる。
第二ピークに着いたときは完全に陽が上がっていた。船窪第二ピークから不動岳は樹林帯で、登山道は富山側の山肌を行くため崩壊は少なく若干心にゆとりを持てるコース。途中2288m峰、2341m峰の小ピークを2つ越える。2341m峰から、不動岳への登りは270m程で上部はハイマツ帯。

▲鶏冠
不動岳からは七倉以来の烏帽子がみえる。道は不動岳から再び下り、小ピークを越え南沢乗越を通り南沢岳に登っていくのが見え、長野側の谷は相変わらず崩壊している。崩壊登山道最後の急坂を250m程登ると景色が開け、南沢岳山頂に出る。山頂について崩壊登山道の緊張から開放される。ふぅ~。

▲雷鳥
気がついたら雷鳥のつがいが近くに。
南沢下って烏帽子方へ、南沢下りきったところから烏帽子の間は池塘が幾つもあり庭園地帯になっていて綺麗で静かだ。花の季節ならさらに綺麗であろう。
烏帽子岳へ続く道は縦走路から離れているためザックをおいて軽身でピストン。鎖場を上がりきると頂上で、景色が物凄く良い。何とか雲も少なくと言った所だが、高瀬の谷は雲で燕、大天井方は見えなかった。

▲前烏帽子より
今日の最低目標、烏帽子小屋には昼前に到着、ココで大休止。この時間なら野口五郎まで行ける!と余裕で休息していると、「野口五郎小屋は19日に営業を終了しました」の張り紙。「エッーッ!!」小屋の人に聞くと水場もないとの事で、小屋で水4リットルを補給し超重荷で野口五郎を目指すことに・・・。
いやぁ~重い。でも辛いのは三ツ岳の登りまで、それ以降の尾根道は七倉乗越~南沢岳に比べたらほぼ平坦で、全然楽。
野口五郎小屋手前で小屋を閉めた人たちすれ違う。今日のテン場代はタダだな。ヒッヒッヒ!
小屋についてみれば「H16よりテン場は廃止しました」の看板が、自分の地図古くまだテントマークが書いてある。結果的に営業終了していたお陰でテントが張れた。
テント設営後、野口五郎までピストン。時折、雲の中から水晶岳が見え、槍ヶ岳も一瞬だけ見ることができた。野口五郎と言えば「改札口で~♪」ってやつです。

▲水晶

▲一瞬雲切れて
日没後より強風・ガスの中。どうも野口五郎は風の通り道らしい、テン場が廃止になるのも納得。後で知ったが小屋も隙間風で寒いらしい。
9/22 強風ガスの中
昨日よりの強風どうにかテント飛ばされずで、日の出後、大気安定して強風収まると思ったがダメで仕方なく出発する。出発してまもなく小雨が雨になり、最悪の天気になりつつ…。そ~言えば昨日の天気予報で前線が南下してきて、さらに南方より湿った空気が入り…と言っていたのを思い出しながらも野口五郎までの斜面で強風雨の洗礼に合う。もしかしたら飛ばされるかもしれないという不安がよぎり引き返そうかとも思ったが誰もいないテン場で一人やることなく停滞するのも何なので、とにかく飛ばされないよう慎重に行こうと決意しなおし縦走を続ける。しっかし、誰も歩いていなく視界も精々5m~10m位で、不安の連続。一時間くらい歩いたところで水晶小屋より来たオジサン2名に出会い少し安心。聞けば水晶方は風はあまり強くないとの事で、さらに安心。水晶小屋の発電機の音が聞こえたときは本当にうれしかった。水晶小屋は北ア一小さい小屋で、過去に数回強風によって飛ばされている小屋らしいが、今の自分には大きい存在であった。安堵感に包まれながらも水晶小屋に荷物を置き軽身で水晶岳へ。途中、雷鳥の群れに囲まれながらもピストン。その後も天気は良くならず雲の中を歩いているような状態で、さらに雨風でレイン、靴を浸透してきて全身びしょ濡れ状態であるが、なぜか楽しくなってきて、ずんずん雲の中を行く。眺望は皆無であったが、おかげで雷鳥を多く見かけた。
三俣蓮華手前で単独行者に抜かれるが、この単独行者の背中を追いつつ三俣蓮華へ。三俣蓮華の頂上で単独行者に話かけてみると、双六方に行くとの事で、さらに話をすると、お名前の方は千葉さんと言う方で、千葉さんは室堂から剱を経由して薬師、黒部五郎と来ているらしい。目指すは槍穂こえて焼、中ノ湯との事。ちなみに朝、水晶岳に行く途中ですれ違った人で、自分のこと覚えていたらしく、デカイ荷物を持って歩いているのが三俣小屋から見え気になって三俣小屋から追いかけてきたらしいとの事。面白い方だったので一緒に行動することにした。

▲双六山頂
双六の頂上もガスの中であったが共に歩いた千葉さんと一緒に記念撮影をし、小屋までラスト・スパート。
双六小屋は双六と樅沢の間のコルにあり風が良く通る。夜になっても風雨収まらず。
9/23 晴れ
夜明け前、雨風とまり、星空が見え、東の方は薄っすら焼けてきて綺麗な日の出の予感。ならばと双六に再び行く事にする。
双六岳は頂上部が広大で、天気が悪いと迷いやすいが、天気が良いと丘のようになだらかで広くて気持ちが良い。展望は最高。黒部五郎、薬師、水晶、硫黄尾根、大天井、北鎌、槍、穂、焼、乗鞍、笠。360°の眺望。日が出たばかりなので、槍穂のスカイラインがくっきりしていて絶景。あまりにも良い天気と良い景色だったため自分とオッちゃん、若い女性ハイカーの3人で一時間位頂上の展望を楽しんだ。

▲双六より
今日は下山するのみなので、のんびりと下山し、鏡平小屋へ。鏡平小屋は静かな雰囲気で少しノンビリする。朝晴れていた槍穂もすでに雲の中で、晴れていれば池に槍が映って綺麗な鏡池は残念ながら最高の景色を拝むことはできなかった。

▲鏡平小屋
連休初日で下から上がってくる登山者も多く、家族での登山も見て伺える。
登山道はいつの間にか林道に変わって、その林道を数十分ほど行けばワサビ平小屋。ワサビ平小屋では冷麦やトマト、りんご、オレンジ、ビール等の下界らしい物が売っており、禁欲5日目の登山者には十分過ぎるほどの誘惑であったが、新穂まで我慢我慢!!ココは文明圏らしい。

▲笠ヶ岳、4尾根、3尾根、上は雷鳥岩
やっと下界に降りてきたなぁ~もうすぐ山旅も終わりだ~と思い歩いていると、林道から笠ヶ岳の3尾根、4尾根が見える。それにしてもカッコいぃ~山だ!やっぱ、北アはスゲェー、次は笠ヶ岳が登りたいと言う衝動に駆られてきた。最初から最後まで北アは魅力的な山と充実した山行を味合わせてくれたと新穂の温泉に浸かりながら山を眺めそう感じた。また、色々と出会いや発見の有る良い山行であった。
記:関 秀倫